サステナブルへの挑戦 ―JOE COTTONが生まれるまで

ジョセフ・アブードが1995年から日本で展開を始めて以来、一貫して追求してきたテーマがあります。それは「自然との共存」。このブランド哲学を具現化するために生まれたのが、オリジナルブレンドのオーガニックコットン「JOE COTTON」です。2018年から本格展開を開始したこの素材は、単なる流行のサステナブル素材ではなく、長年の研究と情熱が結実した理想の天然素材なのです。

 

100年の歴史が生んだ奇跡のコットン

 JOE COTTONの誕生には、日本の老舗繊維メーカーとの運命的な出会いがありました。共同開発したのは、創業100年を超える大正紡績株式会社。同社はオーガニックコットンのパイオニア的存在として、世界中の有名メゾンから日々オファーが絶えない綿業界のレジェンド企業です。

特筆すべきは、この開発を主導した大正紡績の素材戦略シニアディレクター・近藤健一氏の存在です。「コットンの神様」とも呼ばれる近藤氏は、オーガニックコットンへの造詣が深く、数々のハイファッションブランドのコットン素材を手がけてきた人物。全世界150カ国以上にオーガニック綿工場を設立し、高品質のオーガニック綿開発に日々世界各国を巡る、まさにこの道のプロフェッショナルです。

近藤氏と大正紡績が取り扱う世界中のオーガニックコットンの中から、ジョセフ・アブードはある特別な2種類のコットンに着目しました。

 

ブランド発祥の地が育む2つの原綿

JOE COTTONの原料となるのは、ブランド発祥の地であるアメリカで栽培された「アルティメイト・ピマ」と「アカラ」という2種類のオーガニックコットン。これらはニューメキシコ州の「ドーシ・アルバレス農場」で、30年以上にわたり無農薬・有機農法によって栽培されています。

 

アルティメイト・ピマ超長綿の最高峰

アルティメイト・ピマは、最高級コットンといわれる「シーアイランドコットン」をルーツに持つ超長綿です。その繊維長は37.5mmから38.7mmと、オーガニックコットンの中では世界一長く、一般的な超長綿の平均繊維長34.9mmを大きく上回ります。

この驚異的な繊維長は、ニューメキシコ州の特殊な気候条件によって生まれます。標高が高く、昼夜の寒暖差が大きい高地で栽培することで、繊維の中空率が高くなり、生地にハリとコシが生まれるのです。適度なぬめり感を持ちながら心地よい柔らかさは、従来のオーガニックコットンとは一線を画する素材感です。

さらに注目すべきは、その希少性。世界の綿生産量が約2500万トンとされる中、超長綿の割合は1.6%、オーガニックコットンも同様に1.6%ほど。超長綿でありオーガニックコットンでもあるアルティメイト・ピマの年間生産量は、わずか50トン程度、全体の0.0002%という極めて稀有な存在です。

 

 

アカラハリとコシを支える力強さ

一方のアカラは、アルティメイト・ピマとは異なる特性を持つ品種です。アップランド種より栽培期間が長く、面積あたりの収穫高が低いこの品種を、ドーシ・アルバレス農場では大正紡績のためだけに栽培しています。十分な繊維長と強度を兼ね備えたしっかりとした素材感が特徴で、風合いの良さが長く保たれます。

高地栽培により、繊維の中空率が高くなることで生まれるハリとコシ。この特性が、JOE COTTONに立体感と持続性をもたらす重要な要素となっています。


黄金比率が生み出す理想の風合い

2種類のオーガニックコットンを、それぞれの良さを引き出す黄金比率でブレンドする。これがJOE COTTON最大の秘密です。アルティメイト・ピマの滑らかさと光沢、アカラのハリとコシ。相反する特性を持つ2つの素材を絶妙なバランスで融合させることで、ジョセフ・アブードが追い求めた末にたどり着いた理想の天然素材が誕生しました。

大正紡績の工場には、世界各地から選りすぐられた原綿が集まってきます。その中に「JOE COTTON」の原綿となる「アルティメイト・ピマ」と「アカラ」も含まれています。この2種類のオーガニックコットンを最良の比率でブレンドしたのち、複数の工程を経て原糸が完成。さらに、原糸を様々に染めたり、織りを工夫することで、個性豊かなウェアが出来上がります。

 

 

JOE COTTONが広げた可能性

JOE COTTONが誕生したことで、ジョセフ・アブードのアイテムの幅は大きく広がりました。アイテムに適した糸を独自に作ることが可能になり、ブランドが理想とする風合い、色合い、厚みを表現できるようになったのです。

豊かな光沢としっとりと滑らかな肌触り、そしてふっくらとした柔らかな風合い。これらの特徴は、着る人を十分に満足させるクオリティを実現しています。ジョセフ・アブードでは、そんな上質さとナチュラルさを併せ持った「JOE COTTON」の魅力を存分に生かしたハイクオリティなウェアを豊富にラインナップしています。

 

サステナブルファッションの本質

「私は常に天然繊維、カシミヤ、ウール、リネン、コットンを愛してきました。私にとって、これらはすべての中で最も気高い生地です。地球から生まれ、やがて時とともに地球に還っていきます」

ジョセフ・アブードのデザイナー、ジョセフ・アブード氏はこう語ります。サステナブルファッションとは、単に環境に配慮した素材を使うことだけではなく、地球の循環の中で素材を捉え、長く愛用できる製品を作ること。それがジョセフ・アブードの考えるサステナブルなものづくりの本質なのです。

 

この一枚が特別な理由

「このシャツは"JOE COTTON"という特別なオーガニック素材です」

そう説明できることの意味は大きい。なぜなら、ジョー・コットンには明確なストーリーとトレーサビリティがあるからです。どこの農場で、誰が、どのように育て、どのように紡績され、どのような理念のもとに製品化されたのか。そのすべてが透明で、検証可能です。

ニューメキシコ州の高地、ドーシ・アルバレス農場の土壌、30年以上の有機農法で培われた環境、大正紡績の100年を超える技術、近藤健一氏の専門知識、そしてジョセフ・アブードの「自然との共存」という哲学。これらすべてが1枚のシャツに込められているのです。 

 

未来へ続く物語

2018年に本格展開を開始したJOE COTTONは、ジョセフ・アブードのサステナブルへの挑戦の象徴です。

「私たちには勝利の方程式があります――日本で製品を作り出す素晴らしいチーム、限界はないと信じるデザイナー、そして偉大さを求める旅の次の段階を始めたブランド。私たちは今、30年プラス1年目にいるのです」

ジョセフ・アブード氏のこの言葉が示すように、JOE COTTONの物語は、これからも進化し続けます。1枚の服が、着る人に快適さと自信を与え、同時に地球環境と生産者の生活を守る。それが、ジョセフ・アブードが目指すサステナブルファッションの未来なのです。

 

JOE COTTONを使用したアイテムは、ジョセフ・アブード各店舗および公式オンラインストアでお求めいただけます。

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